大阪地裁(平成16年5月27日)“重炭酸透析用人工腎臓灌流用剤事件”は、「特許法102条2項は、特許権を侵害した者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者が受けた損害の額と推定する旨を規定するところ、ここにいう『利益の額』とは、侵害者が当該特許権侵害行為である製品の製造販売によって得た売上額から、製造販売行為に必要であった費用、すなわち、その製品の製造原価ないし仕入れ価格のほか、梱包、保管、運送等の経費のうち侵害製品の製造のみのために要した部分を控除した額であると解するのが相当である。そして、控除すべき費用は、一般には、当該侵害品の製造販売に伴って比例的に増大するいわゆる変動費をいうが、これに当たらない固定費であっても、侵害製品に直接関連する経費はその侵害製品の製造販売のために必要であったものとして控除の対象となるものというべきである」と述べている。 |