知財高裁(平成17年10月11日)“制震装置事件”は、「原告は、請求項7及び8の追加は請求項2及び3に従属させ、さらに、請求項10の追加は請求項1〜9に従属させたものであって、いずれも特許法17条の2第4項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とすることは明らかであると主張する。しかし、同号は『特許請求の範囲の減縮』について、括弧書きで『第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る』と規定しているから、同号にいう『特許請求の範囲の減縮』は、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請されるというべきであり、補正前の請求項と補正後の請求項とは、1対1又はこれに準じるような対応関係に立つものでなければならないと解すべきものである。しかるに、本件手続補正前の特許請求の範囲には、本件手続補正によって追加された請求項7、8及び10と1対1又はこれに準じるような対応関係に立つ請求項は存在しないことが明らかである。したがって、請求項7、8及び10を追加する補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するということはできない」と述べている。 |