知財高裁(平成17年10月11日)“水溶性ポリペプタイドのマイクロカプセル化事件”は、「法68条の2の規定は、『法67条2項(サイト注:現4項)の政令で定める処分の対象となった物』について、括弧書きで、『その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合』という特定の場合について規定しており、特許法としては、・・・・『物(有効成分)』と『用途(効能・効果)』という概念によって、処分という概念を画そうというものであるといえる。そうすると、法67条2項及び67条の3(サイト注:現67条の7)第1項1号の『政令で定める処分を受けることが必要であった』という要件・・・・は、・・・・『物(有効成分)と用途(効能・効果)という観点から処分を受けることが必要であったこと』というように解すべきであり、そうしてこそ全体として矛盾のない解釈となる」、「なお、上記各条文の起草担当者らが解説するところ・・・・は、当裁判所の解釈とは若干のニュアンスの違いはあるが、基本的に矛盾なく符合するものである。すなわち、上記解説は、法67条の3第1項1号について、・・・・『医薬品の場合、薬事法の規定に基づく承認(処分)は有効成分(物質)、効能・効果(用途)、剤型、用法、用量、製法等をすべて特定して与えられることとなるが、そもそも薬事法の本質は、ある物質を医薬品として(特定の効能・効果用に)製造・販売することを規制することになるから、多数の特定される要素の中で、まさに、有効成分(物質)と効能・効果(用途)が規制のポイントということとなる。したがって、有効成分(物質)および効能・効果(用途)が同一の医薬品の製造承認を受けることによって医薬品としての製造・販売等の禁止が解除され、その有効成分(物質)と効能・効果(用途)の組合せについては特許発明が実施できることになったと考えられ、したがって最初の製造承認に基づいてのみ延長登録が可能であり、その後の製造承認は、特許発明の実施に当該承認を受けることが必要であったとは認められないこととなるのである。・・・・一般的にいえば、物以外の要素(当該処分において用途が特定される場合にあっては物と用途以外の要素)が異なる処分を受けても、特許発明の実施に必要であったとは認められないこととなる。』としている」と述べている。 |