大阪地裁(平成17年10月11日)“炭酸飲料用ボトルの製造方法事件”は、「本件発明の構成要件Cの『各移動金型を後退させた状態』の意義、構成要件Dの『各移動金型を前進させた状態』の意義及びこれらの状態と1次ブロー工程及び2次ブロー工程の時期との関係について検討する。この点について、まず特許請求の範囲の記載を検討すると、構成要件Bにおいて、『上記狭窄部の位置に対応して金型本体部内部へと向けて前進・後退可能な互いに対向する一対の移動金型』とあることからして、構成要件Cの『各移動金型を後退させた状態』とは各移動金型が金型本体内部から遠い位置にある状態、構成要件Dの『各移動金型を前進させた状態』とは各移動金型が金型本体内部から近い位置にある状態を意味するという程度のことは理解できるが、それ以上の具体的な意味は、これらの文言のみからは明らかでない。そして、構成要件Cにおいて、『各移動金型を後退させた状態で、・・・・所定の圧力のもとにエアを吹き込む1次ブロー工程』とあることから、1次ブロー工程は各移動金型を『後退させた状態』で行われるものと理解することができ、また、構成要件Dにおいて、『1次ブロー工程後に上記各移動金型を前進させた状態で、1次ブロー工程よりも高い圧力のもとにエアを吹き込む2次ブロー工程』とあることから、各移動金型が『1次ブロー工程後』に『前進した状態』となり、その状態で2次ブロー工程が行われるものと理解することができるが、『後退させた状態』及び『前進した状態』の意義が上記のとおり明らかでないため、やはり文言のみからはこれらの構成要件の意義も明らかでない」、「そこで、本件明細書の記載を参酌して、これらの意義を検討する」と述べている。 |