知財高裁(平成7年1月7日)“脂肪族ポリエステル二軸延伸フィルム事件PCC値とSRaとの関係につき、請求項1の不等式[PCC値≦7000−45000×SRa]を満足させることが、当業者に過度の試行錯誤を強いるものであるか否かについて判断する」、滑剤粒子の平均粒子径が1.8μmである場合に限っては実施例及び比較例の数値を参照することによって不等式[PCC値≦7000−4500×SRa]を満足するフィルムを得ることは容易に実施することが可能であると考えられる。しかし前記不等式によって表される範囲は原告作成による参考図でいえば(1式』と記載された右下がりの直線で区切られた下の部分全体を指すのに対し平均粒子径が1.8μmである場合の実施範囲とは比較例1実施例3実施例1実施例2・・・・、比較例2の各プロットを順次結んだ線に近似する右上がりの線であるのにすぎないのであってこのような限られた範囲の実施をもって前記不等式によって表される数値範囲の実施をしたとは到底評価できないものである。したがって本件明細書の実施例を手がかりとしてもPCC値とSRaとの関係が不等式[PCC値≦7000−4500×SRa]を満足するフィルムを得るためには製造されたフィルムにつきSRaとPCC値を逐一計測して前記不等式を満たしているか否かを確認するほかないから当業者に過度の試行錯誤を強いるものといわざるを得ない」、以上のとおり、PCC値とSRaとの関係が不等式[PCC値≦7000−4500×SRa]を満足するものとすることは、当業者にとって実施可能であるとは認められない」と述べている。

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