知財高裁(平成7年1月2日)“高輝度長残光性蓄光材料事件「本願明細書には、rを単独で用いた例並びにそのrの一部をaで置換した例(実施例6)及びaで置換した例(実施例7)について、具体的データに基づく説明がされているということができる。しかしながら、rの一部をgで置換した例(実施例8)については『優れた蓄光材料が得られた』というだけで、具体的なデータが示されていないし、さらに、r以外のアルカリ土類金属のみを用いた例については、具体的なデータが示されていない上、何の説明もされていない。したがって、本願明細書には、残光性蓄光材料としての効果に関し、アルカリ土類金属としてrを単独で用いた場合並びにそのrの一部をa又はaで置換した場合を除いては、具体的データに基づく説明も、作用機構に基づく説明もされていないといわざるを得ない」、発光体の技術分野における周知の技術からみてr以外のアルカリ土類金属についてその効果を示すデータなしにrやrの一部がa又はgのいずれかで置換されたものと同様の効果があると類推することはできない」、「以上によれば、審決が『本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分になされているとすることができないものである』と判断したことに誤りはない」と述べている。

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