名古屋高裁(平成17年4月27日)“圧流体シリンダ事件”は、「構成要件Aの『スチールバンド』は、スリットを密封し、バレル内に供給された圧流体を封じ込める作用効果を有しているところ、この目的、作用効果を達成するためのバンドが鋼製でなければならないという技術的理由は見当たらず、イ号物件の樹脂製のベルトも、同様の目的、作用効果を有していることは、その構成から明らかであるから、・・・・置換可能性を肯認することができる。この点について、控訴人は、樹脂製バンドが、『スチールバンド』と比較して、種々の利点を有すると主張し、両者の作用効果が同一であることを否定するが、本件考案における『スチールバンド』が果たすべき役割は、上記のとおり、スリットを密封し、バレル内に供給された圧流体を封じ込めることにあり、かつそれでもって足りるから、樹脂製バンドが、この役割を果たすに際して、『スチールバンド』が有していない利点を持っているとしても、置換可能性が否定されるものではなく、控訴人の上記主張は、採用できない」と述べている。 |