名古屋地裁(平成7年48日)“移載装置事件特許法102条2項にいう『利益』とは侵害者が特許権侵害に係る製品の製造販売のみに要する専用の設備を新たに設置しあるいは従業員を雇い入れたといった例外的な事情がない限り侵害に係る製品の売上額から原材料の仕入れ加工保管運送等に要した経費のうち当該製品の製造販売のみのために要した変動費を控除した限界利益をいう(もっとも必ずしも財務会計上の限界利益と一致するものではない)と解するのが相当である」、被告は人件費(総組立費)として573万円を控除すべき旨主張するところ・・・・前記の限界利益の考え方からは特別の事情がない限り組立に要する人件費経費(旅費交通費減価償却費賃借料修繕費水道光熱費電力費消耗品費リース料燃料費雑費)の全部が製造原価に含まれるものではなく当該製品の製造のみのために要した部分に限り売上げから控除すべきである・・・・。もっとも被告においては通常は残業がないにもかかわらず受注した被告製品を製造するに際し1日1人当たり2時間ないし4時間の残業をしたことが認められる・・・・ところこれは被告製品の製造のために特に要したものであって原告が本件特許権に基づく製品を製造するためにも同程度の残業を要したものと認められるからこれに対する手当の支払については変動経費として売上げから控除すべきものと判断する」、被告は管理費1104万4902円を控除すべき旨主張する。しかし前記のとおり控除すべき管理費は侵害者が侵害品の製造販売のために初めて追加的に要したものに限られるところ被告の主張する上記管理費は被告製品の売上高に一般管理費の製造原価に対する比率を乗じたものであるから・・・必ずしも製品の販売のために追加的に要したものとは認められない。したがって被告の利益の計算に当たって管理費を控除することはできない」と述べている。

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