知財高裁(平成17年6月22日)“有機エレクトロルミネッセンス素子事件”は、「原告は、500ppmの濃度に臨界的意義があることを述べて、本件発明1が進歩性を有すると主張する。しかし、・・・・本件明細書には、本件発明1について500ppmの濃度が臨界的意義を有することを示す記載は一切存在しない。特許請求の範囲において特定の数値限定のされた発明について当該数値の内外において特定の作用効果が顕著に異なるという、いわゆる数値限定の臨界的意義に基づき発明の進歩性が認められるためには、当該数値限定の臨界的意義が明細書において開示されていることを要するものというべきである。原告の主張は、明細書の記載を離れて本件発明1の進歩性を主張するものであり、採用することができない」、「審決取消訴訟において提出された・・・・実験証明書・・・・により臨界的意義が認められれば、それにより本件発明1の進歩性が肯定されるべきであるという原告の主張は、訂正によって許されない発明の内容の変更を、審決取消訴訟における実験証明書の提出により達成することで、本件特許の進歩性の欠如を免れようとするものであり、不当というほかはない」と述べている。 |