知財高裁(平成17年6月30日)“積層セラミックコンデンサー用ニッケル超微粉事件”は、「特許請求の範囲、明細書及び図面は、特許発明の技術的内容を公開するとともに、その技術的範囲を明示する役割を担うものであるところ、特許法36条4項は、明細書の発明の詳細な説明の記載について、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に記載しなければならないとしている(なお、平成6年・・・・改正前の特許法36条4項は『当業者が容易にその実施をすることができる程度に』と規定し、改正後の同条項は、『容易に』を削除し、『明確かつ十分に』と加えているが、要件が過重又は緩和されたものではなく、解釈上も運用上も実質において差異はないものと解される。)。ここでいう『実施』とは、『物の発明』の場合、その物を製造、使用等することであるから、当業者がその物を製造することができる程度に記載しなければならないことはいうまでもなく、そのためには、明細書、図面全体の記載及び技術常識に基づき特許出願時の当業者がその物を製造できるような場合を除き、具体的な製造方法を記載しなければならないと解すべきである」と述べている。 |