知財高裁(平成7年73日)“透明タッチパネル事件原告は、審決の判断するように、引用発明の金属酸化物被膜を収縮性樹脂層に置き換え、かつ、これをプラスチック基板と導電性被膜との間に形成することが当業者にとって容易にし得ることであるとしても、なぜ容易にし得るのか、特に収縮性樹脂層をなぜプラスチック基板と導電性被膜との間に形成できるのかの根拠を全く説明していないから、審決は、この点について判断を遺脱している旨主張する。審決には『結論及び理由』を記載しなければならないが(特許法157条2項4号、必ずしも、審決において行ったすべての認定及び判断の経過が逐一記載されていなければならないというものではない。本件において、審決は『上記引用例に記載されたものにおいても、前記周知慣用技術を参酌して前記反り・たわみを防止できるように、これを可動電極フィルムと可動電極との間に形成することにより本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることである・・・・と判断しているところ、原告の指摘する点について明記はしていないものの『本願発明のように構成することは当業者が容易になし得る』と結
論付けていることからすれば、上記の点も含めて総合的に判断していることが明らかであるから、原告の判断遺脱の主張は、失当というほかない
」と述べている。

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