東京地裁(平成8年6日)“写真用支持体事件特許法5条4項(サイト注:現7項)にいう『その発明により使用者等が受けるべき利益の額』は『その発明又は特許発明により使用者等が実際に受けた利益』と解し得る・・・・。この場合の使用者等が実際に受けた利益とは、特許出願ないし出願公開から登録時までの間においては、当該発明を第三者に実施許諾し、これにより得た実施料収入、あるいは、特許出願人が第三者に対し、出願公開後に補償金請求権を取得し得ること、若しくは、特許登録後には差止請求権を行使し得ることに裏打ちされた事実上の独占的実施による利益(出願公開後は、補償金請求の制度があること等により、第三者が特許出願人の実施許諾なく当該発明を実施することが事実上困難であり、特許出願人が当該発明を事実上独占的に実施することができ得る事態が生じることは稀ではない。)、又は、出願公開後に実際に得た補償金請求権、並びに、特許登録後においては、特許権による独占的実施による利益又は第三者に対する実施許諾により得た実施料収入、あるいは、特許権侵害を理由とする損害賠償請求により得られた損害金などが挙げられる」と述べている。

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