知財高裁(平成8年1月1日)“内膜肥厚の予防、治療剤事件被控訴人は、平成7年5月8日の抹消登録をもって本件用途特許権を放棄したが、使用者等が取得した特許権をその後放棄したことは、使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継することにより、当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得することによって受けることが見込まれる利益の額を左右するものではないから、仮に本件用途特許権を放棄しなかったとして、被控訴人が平成7年6月から本件用途特許権の存続期間が満了する平成4年7月0日まで本件用途発明を排他的、独占的に実施して本件製剤を販売した場合に得ることが見込まれる利益について検討する。これは、本件用途特許権が放棄されなかったと仮定した場合に想定される利益であるが、市場の動向や競合製品の開発の有無など将来の不確実な要素にかかるものであるから、控え目に予測、算定するのが相当であり、平成2年0月(サイト注:本件用途発明の実施を開始した時期)から平成7年5月までの・・・・実績利益の年平均額に、本件用途特許権の残存期間を乗じて得られる額の0%をもって、その間の想定される利益とみるのが相当である」と述べている。

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