知財高裁(平成8年2日)“耐摩耗性皮膜被覆部材事件優先権主張を伴う特許出願に係る発明のうち、優先権主張の基礎となった先の出願の当初明細書等に記載された発明の範囲を超える部分には優先権主張の効果が及ばないであるから、その部分の新規性及び進歩性の判断をする場合には、後の出願の出願日前に頒布された刊行物に基づいて行うことができる」、本件では、優先権主張の基礎となった第1基礎出願の出願日の後・・・・に頒布された本件刊行物に基づいて、本件発明が新規性、進歩性を有しないとの主張がなされているのであるから、まず、本件発明と第1基礎出願の明細書等に記載された発明を対比し、本件発明のうち第1基礎出願の明細書等に記載された発明(すなわち優先権主張の効果が及ぶ範囲)を認定判断する必要があり、その上で、本件発明のうち第1基礎出願の明細書等に記載された発明の範囲を超える部分が存在する場合には、その部分について本件刊行物との対比判断を行い、新規性、進歩性の判断を行うべきである」と述べている。

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