知財高裁(平成18年4月11日)“包装事件”は、「原告は、甲第8ないし第10号証(審判甲7ないし9)は、全く新しい証拠であり、一事不再理の問題はないと主張する」、「甲第8ないし第10号証(審判甲7ないし9)は、先の審判請求時には提出されておらず、本件審判請求時に初めて提出された証拠であることが認められる。しかし、甲第8ないし第10号証(審判甲7ないし9)は、先の審決の判断の誤りを指摘し、立証するために提出するものであり、被告特許の明細書に物を作る方法が記載されていないことを立証するためではないと、原告自身が主張している。また、甲第8号証(審判甲7)は、原告を当事者とする別件の審決取消訴訟の判決の一部であり、その立証趣旨は、先行技術として把握可能な発明の判断の一例を立証するものであるから、本件審判請求において原告が主張する無効理由を立証するための証拠ではない。甲第9及び第10号証(審判甲8及び9)も、先の審決が付加的に説示した技術水準についての判断を争うためのものであって、本件審判請求において原告が主張する無効理由を立証するための証拠ではない。これらの証拠は、いずれも先の審決の取消事由を立証するものとはなり得ても、被告特許の無効理由を立証するための証拠とはならないものである。そもそも、審決の取消事由を立証するための証拠は、当該審決に対する取消訴訟を提起して、その訴訟において提出すべきであって、審決が確定した後に、先の審判請求の請求人(原告)が同じ特許について再度の無効審判請求をして、既に確定した審決の取消事由を立証するための証拠を提出することは、特許法167条の趣旨に照らして許されないと解される」と述べている。 |