知財高裁(平成18年4月27日)“酸性水中油型乳化調味料事件”は、「本件発明1は、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することにより、ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方を用いる場合と比較して、焼成あるいはフライという加熱処理を施した場合に、油相分離を生じ難いという効果を奏するものであることが認められ、・・・・ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方しか用いない場合には、その配合量を増加させても、焼成した場合に、油相分離が生じ、保形成も崩れることが推認されるから、本件発明1の上記効果は、ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することによる相乗効果であると認めるのが相当である」、「ホスホリパーゼA処理卵黄とオクテニルコハク酸化澱粉を併用することにより、ホスホリパーゼA処理卵黄又はオクテニルコハク酸化澱粉の一方を用いる場合と比較して、焼成あるいはフライという加熱処理を施した場合に、油相分離を生じ難いという本件発明1の効果は、当業者が予測することができないものであったというべきである」、「本件決定が、相違点(1)について、引用発明(サイト注:ホスホリパーゼA処理卵黄を含有する酸性水中油型乳化調味料)において、刊行物2記載のオクテニルコハク酸エステル化澱粉(サイト注:オクテニルコハク酸化澱粉と同義)を配合することは当業者が容易に想到しうるところであり、本件発明1の『強力な加熱処理を施しても、油相分離を生じ難くしかも滑らかな食感を保持する』という効果も、刊行物1、2の記載から当業者が予期しうる範囲のものであるとした判断は、誤りであるといわざるをえない」、「そうすると、相違点(1)についての上記誤った判断を前提に、本件発明1が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとする本件決定の判断も誤りである」と述べている。 |