知財高裁(平成8年69日)“非水電解液二次電池事件原告が主張するように、単なる誤記であるならば、当初明細書の記載に接した当業者は、その記載にかかわらず、原告の主張するとおりの技術事項を理解し、その記載の方が誤りであると考えるはずである。しかし、一般に、表に『〃』との記載があれば、その上部にある文字と同じであるとの意味に解されるから、当初明細書の表2では『電解液番号1aないし0a』の場合が『比較例』であるとの意味に解するのが自然である(サイト注:電解液番号1aの備考欄には『比較例』と記載されており、2aないし0aの備考欄には『〃』と記載されている)ところ、・・・・そのように解することが表2に対応する当初明細書の記載と何ら矛盾するものではなく、むしろ、・・・・当初明細書の・・・・記載とも整合することからすれば、当業者が当初明細書の記載に接した場合に、原告の主張するような技術事項を理解するとは考えられず表2の『電解液番号2aないし0a』の備考欄の記載が誤記である(サイト注:電解液番号2aの備考欄に記載された『〃』は『本発明』との誤記であり、2aないし0aは比較例ではなく本発明であると解すべきこと)とまではいえない」、「『電解液番号7a、8a』の場合の具体例は、当初明細書の前記記載からみれば、当初明細書の表2の記載のとおりに『比較例』を意味すると解するのが自然である。したがって、補正1によって『電解液番号7a、8a』の場合という新たな『実施例』を追加することとなるから、この補正が新規事項の追加であると判断した決定に誤りはない」と述べている。

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