知財高裁(平成8年90日)“ネマティック液晶の駆動方法事件本願発明を実施する上では、電圧V、0Vをそれぞれ印加する時間又は電圧Vと0Vをそれぞれ印加する時間の割合、液晶パネルが黒から白に変化する時間等についての記載を要するというべきであり、そのような記載がない場合には、当業者が不相当な程度の試行錯誤を強いられるというべきである」、以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明には、本願発明に用いる『液晶材料及びセルギャップなどを最適化したパネル』、『印加電圧V』、『画像データに応じた電圧を極性反転を行って印加する第1のステップにおけるパルス幅』、『一定電圧を一定時間印加する第2ステップにおける一定時間』等が具体的に記載されておらず、本件出願当時の技術水準を参酌しても、当業者が合理的な範囲を超えた試行錯誤を行うことなく本願発明を実施することは困難であるというべきである。したがって、本願明細書は、当業者がその発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものということはできず、特許法6条4項の要件を充足していない」と述べている。

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