知財高裁(平成8年5日)“椅子式エアーマッサージ機事件被控訴人は、仮に、競合品の存在を考慮して特許法102条1項ただし書を適用したとしても、被控訴人によって販売できないとされた分(9%)については、特許法102条3項の実施料相当額として販売額の5%が損害として認められるべきであると主張する。しかしながら、特許法102条1項は、特許侵害に当たる実施行為がなかったことを前提に逸失利益を算定するのに対し、特許法102条3項は当該特許発明の実施に対し受けるべき実施料相当額を損害とするものであるから、それぞれが前提を異にする別個の損害算定方法というべきであり、また、特許権者によって販売できないとされた分についてまで、実施料相当額を請求し得ると解すると、特許権者が侵害行為に対する損害賠償として本来請求しうる逸失利益の範囲を超えて、損害の填補を受けることを容認することになるが、このように特許権者の逸失利益を超えた損害の填補を認めるべき合理的な理由は見出し難い。したがって、被控訴人の主張は採用できない」と述べている。

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