大阪地裁(平成9年0月0日)“既設コンクリート杭の撤去装置事件従来の既設杭の引き抜き方法では係止突起の突出操作をする油圧シリンダが係止突起と同じケーシングの下端部に装着されており、係止突起をケーシング内に向けて突出させる際にその突出状態を地上で確認することができないため、係止突起が既設杭の下端に達しないまま、あるいは既設杭の下端に当接しないまま既設杭が引き抜かれることがあり、既設杭の全部を引き抜くという所期の目的を達成できない場合が生じるという技術的課題があったところ、本件特許発明3は、その課題解決手段として、油圧シリンダをケーシングの上部に取り付け、この油圧シリンダのロッド端部とチャック爪とを連結ロッドで連結し、チャック爪に設けた円弧状のカム溝をケーシング下部に固定した軸に挿通し、油圧シリンダの伸長動作で連結ロッドが下降することによりチャック爪がケーシング内に略水平姿勢に突出するという構成を採用し、ケーシングの打込み時に油圧シリンダが土砂の抵抗を受けることがなくその保護を図れるとともに、チャック爪がケーシング内に突出していることを容易に確認することができるという効果を奏するものである。したがって、本件特許発明3の技術的思想は、この点にあると認めることができ、これらの構成があることによって、同発明が特許登録されるに至ったものと認めることができる」、「本件特許発明3の上記技術的思想の中核的部分を構成する油圧シリンダをケーシングの上部に取り付けるという技術的思想を創作したのはHであって、原告がこれに関与していないことが明らかである。そして、その余の技術的思想の創作にも原告が関与したと認めることはできない。したがって、原告が本件特許発明3の発明者であるということはできない」と述べている。

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