大阪地裁(平成9年0月0日)“既設コンクリート杭の撤去装置事件特許法5条4項(サイト注:現7項)の『その発明により使用者等が受けるべき利益の額』とは、使用者等が従業者等の職務発明に関する特許権について無償の通常実施権を有すること(同条1項)からして、単に当該発明を実施することにより得るべき利益をいうものではなく、これを超えて、使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継して特許を得た結果、発明の実施を排他的に独占することによって得られる利益(独占の利益)をいうものと解される」、「従業者等が、職務発明について特許を受ける権利を使用者等に承継させた場合には、その承継のときに、相当の対価の支払を受ける権利を取得するものである・・・・から、相当の対価の額の算定の基準とすべき時点は、その承継時である。そして、相当の対価の算定に当たって考慮すべき使用者等の『受けるべき利益』とは、その文言が『受けた利益』とはされていないことからして、使用者等が権利承継後に現実に取得した利益ではなく、権利承継時に客観的に見込まれる利益の額のことを指すと解される」と述べている。

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