大阪地裁(平成19年10月30日)“既設コンクリート杭の撤去装置事件”は、「特許発明の実施としての『使用』(特許法2条3項1号)とは、発明の本来の目的を達成するような方法で当該発明に係る物を用いることをいうものと解するべきである。すなわち、特許発明に係る物を用いた場合であっても、これをその発明の目的を達成しないような方法で用いるのであれば、特許発明の実施としてその物を『使用』したということはできないというべきである」、「本件明細書2・・・・によれば、本件特許発明2の目的は、既設建物を解体した後、地中に残るコンクリート杭やコンクリートパイル等(判決注・『パイル』とは杭のことである。広辞苑第5版)を破砕して除去する既設コンクリート杭の撤去装置に関して、従来、オーガ軸及びケーシングの長さが一定で調節不可能であるために生じる不具合を解消するためのもので、そのような技術的課題を解決する手段として、オーガ軸の長さを調節するオーガ軸伸縮機構と、ケーシングの長さを調節するケーシング伸縮機構を備える点等に特徴を有することが認められる。したがって、本件特許発明2を『使用』したというためには、既設コンクリート杭を破砕し、除去するための工事に同発明に係る装置を使用した場合でなければならないというべきである。さらに、本件特許発明2に係る装置の使用に該当するというためには、その前提として、本件特許発明2のすべての構成要件を充足する装置を使用する工事でなければならない。本件特許発明2に関していえば、オーガ軸伸縮機構及びケーシング伸縮機構双方を備えた装置をいい、上記目的に沿って、双方の機構を実際に用いる態様の工事であることが必要であるというべきである。原告は、・・・・砂置換工法等の既設コンクリート杭の撤去以外の目的のために、本件特許発明2装置を使用した場合も、本件特許発明2の使用に該当すると主張するが、既に判示したとおり、採用することはできない」と述べている。 |