大阪地裁(平成19年12月11日)“遠赤外線放射体事件”は、「本件明細書には、・・・・抽象的に平均粒子径の数値範囲のみが示されているのみで、本件発明の構成要件Cにいう『平均粒子径』がいかなる算出方法によって算出されるものであるか明示の記載もその手掛りとなる記載もない。また、本件明細書には、・・・・本件発明の構成要件Cにいう『平均粒子径』の測定につき採用されるべき測定方法について明示の記載あるいは手掛りとなる記載もない」、「そうすると、本件明細書の特許請求の範囲の記載中『共に10μm以下の平均粒子径としてなる混合物』(構成要件C)との記載は、それが具体的にどのような平均粒子径を有する粒子からなる混合物を指すかが不明であるというほかないから、特許法36条6項2号の明確性要件を満たしていないというべきである」、「これに対し、原告は、平均粒子径は数学的算出方法が慣用手段であり・・・・、それを熟知した上で『平均粒子径』とするものであり、当業者間には光学的測定器が市販されており、それを使用して『平均粒子径』を決定していることは周知の事実であると主張する。しかし、・・・・平均粒子径の算出方法及び測定方法には複数あるのであって、市販されている光学的測定器を使用して平均粒子径を測定するとしても、複数ある算出方法ないし測定方法からいずれを選択するかについて、当業者間に共通の理解があると認めるに足りる証拠はない。そうであれば、本件発明においていかなる算出方法あるいは測定方法をもって平均粒子径の数値を特定するかは不明であり、やはり特許法36条6項2号の明確性の要件を満たしていないことになるから、原告の上記主張は採用できない」と述べている。 |