大阪地裁(平成9年2月7日)“耐震移動壁構造事件原告は、・・・・構成要件C、D、Eの充足性について、本件発明における『当接』とは、スライド杆部の下部に設けた重量支持部が、受け面を被支持面として移動壁本体の重量を支持しうるような状態であることを意味し、重量支持部の果たす機能は、重量支持部と受け面が直接的に『当接』する場合においても間接的に『当接』する場合においても同一に営まれ『当接』を直接的に重量支持部と受け面が接する場合に限定して解釈しなければならない理由はないので、本件発明の『当接』には、イ号物件のように『間接的』に重量支持部と受け面が『当接』する場合も含まれると主張する。そこで、まず、本件発明における『当接』の意義について検討する」、広辞苑(第5版)には『当接』という語はないが『当』については『@あたること。あてること(ア)ぶつかること。対応すること(イ)あてはまること。かなうこと(ウ)その事にあたること。また、わりあてること。Aめざすところ。めあて。Bまさにあるべきさま。あたりまえ。C当来の略。未来。来世。D名詞に冠して『その』『この』『今の』『さしあたって』などの意を示す語。E頭8に同じ』とされており『接』については『@つぐこと。つなぐこと。ふれること。A近づくこと。B会うこと。もてなすこと。Cうけとること』と説明され『当接』の国語的な意味は『当たっている状態でつながっているあるいはくっついている』ことをいうものと解される」、本件明細書の記載においては『当接』は『間接的に』すなわち間に別の物を介して接している場合も含むことを示唆する記述はない」、よって、本件発明において『当接』は、国語的な意味のとおり当たっている状態でつながっているあるいはくっついている』(『直接当たって接している』『間に別の物を介することなくくっついている』とも表現し得る)ということを意味するものと解される。そして『当接』の意味を上記のとおりに解釈する限りにおいて、本件発明の構成要件の解釈において『間接的』に『当接』するという場合を想定することはできない」、以上のとおり、イ号物件は、文言上、構成要件C、D、Eを充足しない」と述べている。

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