東京地裁(平成19年2月27日)“多関節搬送装置事件”は、「特許法101条は、特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその実効性を確保するという観点から、特許権侵害とする対象を、それが生産、譲渡される等の場合には当該特許発明の侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高い物の生産、譲渡等に限定して拡張する趣旨の規定であると解される。そうすると、『その物の生産にのみ使用する物』(1号)という要件が予定する『生産』は、日本国内における生産を意味するものと解釈すべきである。外国におけるイ号物件の生産に使用される物を日本国内で生産する行為についてまで特許権の効力を拡張する場合には、日本の特許権者が、属地主義の原則から、本来当該特許権によっておよそ享受し得ないはずの、外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受し得ることになり、不当に当該特許権の効力を拡張することになるというべきである」と述べている。 |