大阪地裁(平成9年49日)“ゴーグル事件「原告は、・・・・特許法102条1項ただし書が適用された結果、原告によって販売できないと認定された分については、同条3項の実施料相当額として、・・・・『ダイソー』における販売価格100円の0%が損害として認められるべきであると主張する。しかし、特許法102条1項は、特許権者が被った販売減少等による逸失利益相当の損害の額に関する特則であり、逸失利益相当の損害額を算定するという民法709条の原則を超えた保護を特許権者に付与するための特則ではないと解すべきである。そして、特許法102条1項は、侵害品が販売されなかったとすれば特許権者が得ることができた販売機会に応じて逸失利益を算定することを認めた規定であり、そのただし書において、侵害行為と損害との因果関係を否定すべき事情を考慮することとしているものである。これに対し、同条3項は、当該特許発明の実施に対し受けるべき実施料相当額を損害とするものであるところ、同条1項ただし書に基づいて損害と相当因果関係がないと認められた侵害品の販売数量に基づいて実施料相当額を損害として算定したのでは、権利者が被った逸失利益相当の損害を超える額の損害の賠償を認めることとなるから相当ではない。よって、原告の特許法102条3項に基づく請求は理由がない」と述べている。

特許法の世界|判例集