大阪地裁(平成9年61日)“衝撃式破砕機におけるハンマ事件原告は、平成6年に被告が本件特許権の実施品と疑われるハンマを販売していることを知って弁理士に調査を依頼し、同弁理士を通じて同年2月7日付けで警告書・・・・を送付するなどして9万1130円の費用を要したことが認められるところ、同費用は、被告による本件特許権の侵害と相当因果関係のある損害と認められる」、原告は、上記調査依頼費用に加えて、社員調査費用として、原告の従業員を各地の業者に派遣して現物を確認し写真撮影するなどして要した費用を原告の損害として主張する。しかし、原告が従業員を派遣した業者はいずれも原告の取引先であって、これら取引先から原告に対して被告製品納入の連絡があったから従業員を派遣したというのであれば、これら取引先を通じて被告製品の構造を確認することが可能であり、必ずしも従業員を直接現地に派遣させる必要があったとはいえないし、また、取引先に派遣された従業員は、被告製品の現物の確認が目的であったとしても、実際には営業活動も併せて行ったであろうことが推認されること、他方、原告の従業員が他の目的で取引先に派遣された際に被告製品を確認したというのであれば、その派遣は被告製品の販売の有無にかかわらず行われたものであることから、いずれにせよ、原告主張の社員調査費用は、被告による本件特許権の侵害と相当因果関係のある損害とは認められない」と述べている。

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