知財高裁(平成9年79日)“長期徐放型マイクロカプセル事件特許法8条の2は、特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は同法7条2項(サイト注:現4項)の政令で定める処分の対象となった物(その処分においてその物に使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には及ばない旨を規定する。この規定は、特許権の存続期間が延長された場合の当該特許権の効力は、処分の対象となった物(その処分においてその物に使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)については、処分の対象となった品目とは関係なく特許権が及ぶ旨の規定と解されるから、特許法は、同法7条2項の政令で定める処分の対象となった品目ごとに特許権の存続期間の延長登録の出願をすべきであるという制度を採っていないことは明らかであり、処分の対象となった物(その処分においてその物に使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)ごとに特許権の存続期間の延長登録の出願をすべきであるという制度を採用しているものと解される。そうすると、最初(1度目)に特許法7条2項の政令で定める処分がなされると、その最初になされた処分は、その物(その処分においてその物に使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)について製造販売禁止を解除する必要があった処分であったということができるから、その処分に基づいて特許権の存続期間の延長登録の出願をすることができるが、2度目以降にされた処分については、特許法7条の3(サイト注:現7条の7)第1項が定める『その特許発明の実施に第7条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないとき』に該当し、その特許権の存続期間の延長登録の出願は拒絶されるものと解される」と述べている。

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