知財高裁(平成20年10月6日)“X線画像検出器事件”は、「審決の引用した刊行物2(甲2)、刊行物3(甲3)には、いずれも、絶縁層の厚さが『少なくとも3μmである』点を除き、相違点2に係る構成が明確に開示されていることが認められる。そして、甲2、甲3は、いずれも本願発明と同様、光電変換層と走査回路を有する固体撮像装置において、受光感度を高めるための構成に係るものである」、「ところで、受光感度の向上は、当該技術分野において常に望まれる課題である。コレクティング電極を第1の電極とそれよりも大きな表面領域を有する第2の電極で構成することにより、受光感度の向上を図る技術は、甲2、甲3に明確に開示されているのであるから、刊行物発明のX線画像検出器において、受光感度の向上を望む当業者が、そのコレクティング電極に甲2ないし甲3に開示された技術を適用しようとすることは、むしろ、きわめて自然なことといえ、その適用を妨げる技術上の困難も見い出すことができない」、「そして、本願発明において絶縁層の厚さを少なくとも3μmとした点に臨界的意義が認められない・・・・」、「本願発明と刊行物発明との相違点2について、刊行物(甲2)、刊行物3(甲3)、及び周知技術等により容易想到であるとした審決の判断に誤りはない」と述べている。 |