東京地裁(平成0年0日)“磁気記録再生装置事件本件発明の完成には、被告が電電公社のファミリー企業の一員であることが大きく貢献しているものといわなければならない。すなわち、被告が、電電公社がテレフォンカード式公衆電話機の開発をしているとの情報を入手したこと、電電公社に社員を訪問させ、電電公社から、上記開発の内容についての説明及び電電公社発明の内容の開示を受けたこと、電電公社の上記開発に参加したい旨の被告の申入れが電電公社に了承されたことが、いずれも本件発明が完成した不可欠の要因と解されるところ、上記の各事実は、被告が電電公社のファミリー企業であることによって可能となったものということができる。特に、・・・・本件発明は、電電公社発明の改良発明であるから、被告が、電電公社から、電電公社発明の内容の開示を受けなければ、原告及び乙が本件発明を完成させることは困難であったことは明らかであるところ、電電公社発明の開示を受けられたのは、被告が電電公社との間に、密接な関係を築き上げてきたことによるのであり(被告は、電電公社から、その特許出願前に、電電公社発明の開示を受けているが、このようなことは通常では考え難いことであり、被告と電電公社との関係が相当に密接なものであったことが伺われる。)、この点の被告の貢献は極めて大きいものといえる」、「被告は、・・・・従前から、磁気ヘッドに関する優れた技術を有しており、また、・・・・電電公社は、被告について、従前から、磁性材料及び磁気ヘッドの開発において実績があり、優れた技術力を有していると評価していたことが認められる」、「原告は、・・・・昭和3年に被告に入社し、入社当初から、中央研究所加工技術研究室に配属され、磁気ヘッドの開発に従事し、昭和6年9月から昭和8年8月までの間は、磁気ヘッド開発課に配属され、産業用磁気ヘッドの開発、事業化の業務に従事した」、「以上の事情を総合考慮すると、本件発明に関する被告の貢献度は、5パーセントと認めるのが相当である」と述べている。

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