知財高裁(平成20年2月27日)“リチウム金属分散系である2次電池用アノード事件”は、「本件出願の請求項19は、・・・・アノードの『ホスト材料の中にリチウム金属を分散する』こと及び『ホスト材料中とその中に分散された前記リチウム金属』は記載されているが、『アノード内のリチウム金属の量』については、全く記載されていない。原告は、特許請求の範囲中の記載に『(アノード内の)リチウム金属』に関する言及がある場合には、その量に関する事項は、『(アノード内の)リチウム金属』という概念に内在する特定事項であると主張する。しかし、『リチウム金属』という記載では、物質の種類を特定したにすぎず、その『量』については、何らの言及がないのであるから、上記の『(アノード内の)リチウム金属』なる記載が『リチウム金属の量』についての特定を含むものではないことは一般的な用語法に照らして明らかであるというべきであって、原告の主張を採用することはできない。そうすると、本願発明19の特定事項として、『アノード内のリチウム金属の量』が含まれていない以上、請求項19に係る本件補正は、発明を特定するために必要な事項を限定するものではない」、「以上のとおり、請求項19に係る補正は、特許請求の範囲を減縮するものであったとしても、発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから、特許法17条の2第4項2号の事項を目的とするものとはいえず、本件補正を却下した審決の判断に誤りはない」と述べている。 |