東京地裁(平成20年3月31日)“半導体ウエハの面取方法事件”は、「ヘリカル研削装置は、本件面取機にオプション仕様として付加されるものであって、単体で多く販売されるとは考え難く、その売上には本件面取機そのものの有用性や顧客吸引力に依存する部分があること、本件発明が方法の発明であって、その方法を実施するための具体的な装置の開発が必要であったこと等にかんがみれば、本件発明を具現化するヘリカル研削装置の開発及びそれを装着する本件面取機の開発、ヘリカル研削が不具合なく有効に行われるためのノウハウの蓄積、営業活動、サポート体制等に関し、資金、設備及び人材の点において、被告らに多大な貢献があったというべきである。また、本件発明当時、原告が面取機部門に配属されていなかったとしても、半導体ウェーハ製造工程において、面取りは切断工程の直後の工程であり、顧客との打合せも、切断機及び面取機の両担当者が同席してされることがあったというのであるから、・・・・本件発明と原告の業務内容との間には職務上の関連性が存するものと認められる。以上の諸事情に加え、被告グループの事業内容、研究発明に関する人的物的体制等を総合考慮すると、本件における使用者等の貢献度は、90パーセントと認めるのが相当である」、「被告は、原告に支給した給与や退職金、被告内における待遇などを使用者等における貢献度として考慮すべきであると主張するが、これらの給与等が本件発明の対価として支払われたと認めるに足る証拠はなく、そうであるとすれば、これらの給与等の支給を、原告に対する一般的待遇として考慮する以上に重視することはできないものといわなければならない」と述べている。 |