東京地裁(平成20年3月31日)“半導体ウエハの面取方法事件”は、「特許権に無効理由が存し、かつ、その存在を競合他者すべてが認識していると想定されるような場合においては、使用者等は、競合他者が当該発明の実施品の製造、販売を行うことを阻止し得ず、そもそも、独占の利益を取得し得ないはずであるから、そのような場合においては、例外的に、超過売上高の割合が零となる、あるいは、その程度に応じて当該割合を減少するというべきである」、「本件発明は、溝付砥石の砥石軸を傾斜させるという単純な機構でありながら、研削面粗さ精度を向上させ、半導体ウェーハ面取部の鏡面加工という近年のニーズにもこたえる技術であり、被告もその旨を宣伝広告していたものであるが、このような技術自体は公知技術であり、本件発明は、新規性ないし進歩性を欠くとして、本件特許権には無効理由が存在するとの指摘もされている・・・・。ただし、本件では、そのような無効理由の存在について競合他者がすべて認識しているといった、独占の利益の否定につながる事情を認めるに足りる証拠が存しない以上、超過売上高の割合の認定において、上記の指摘を重視することはできない」と述べている。 |