知財高裁(平成20年5月14日)“アルガトロバンの製造方法事件”は、「一審被告は医薬事業部門を切り離して三菱ウェルファーマ(ティーティーファーマ(サイト注:事業譲渡時の社名))に譲渡しており、一審被告自らはアルガトロバン事業から撤退していることからすれば、実質的に、上記事業譲渡の際、一審被告の通常実施権も譲渡されたものと認められるから、・・・・三菱ウェルファーマの売上の中には本件特許に基づく独占的な売上に係るもの(自社実施期間における超過売上高部分に相当する)のほか、上記通常実施権に基づく売上も含まれているものと解される。そうすると、本件発明の相当対価額算定の基礎となるべき一審被告の実施料収入額を算定するに当たっては、・・・・三菱ウェルファーマの全売上に仮想実施料率(サイト注:一審被告と三菱ウェルファーマは同一企業グループ内の兄弟会社の関係から本件実施許諾契約の定める実施料率が低率であるため仮想実施料率を用いる)を乗ずるのではなく、同売上から通常実施権に基づく売上部分を控除した残額に仮想実施料率を乗じて算定すべきことになる。そして、・・・・一審被告の売上(サイト注:事業譲渡前のもの)に係る超過売上高は40%、通常実施権に基づく売上部分は60%と解するのが相当であり、実施権者が一審被告から三菱ウェルファーマになったことによりこの点を別異に解すべき事情は見当たらないことからすれば、三菱ウェルファーマの売上に係る超過売上高部分(全売上から通常実施権に基づく売上部分を控除した残額部分)もまた40%と認めるのが相当である」と述べている。 |