知財高裁(平成0年2日)“被覆硬質部材事件原告は、・・・・本件発明は、・・・・実施可能要件に違反しない旨主張する。しかしながら、・・・・アークイオンプレーティング技術においては、そのアークイオンプレーティングによる得られる皮膜の特性は(ガス)圧力P、イオン衝撃電力W、堆積速度R、サブストレート(基板)温度Tの各プロセスパラメータに依存して変位するものであるところ・・・・、本件明細書には、パラメータ選定に関する指針などの開示がないことから、当業者が、本件発明の条件に合う硬質被覆膜を得るには、膜の成形に関連する多数のパラメータの最適な値を探るために必要以上の試行錯誤を行わなければならないことになってしまうものであって、本件明細書には、本件発明が当業者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の構成及び効果が記載されているとする原告の主張は採用できない」と述べている。

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