知財高裁(平成20年8月28日)“乗り物シート用ピボット機構事件”は、「弁論の全趣旨によれば、2つの剛性フレームを相対回動可能に結合するために金属クラウンを用いることは、本願発明及び引用発明と同じ、乗り物シート用ピボット機構の技術分野に属する周知技術又は慣用技術であることが認められる」、「本願発明が、金属クラウンによって第1及び第2の剛性フレームが実質的にその全周にわたって面外方向に相互に拘束されるものであり、そのような構成を採ることにより、引用例構成のように片持ち梁状態で支持するよりも強度が増加し互いに離間しにくくなるとの効果が得られたとしても、その効果は、周知技術を適用したことにより必然的に得られる効果にすぎず、本願発明により新たに得られた作用効果ということはできない。したがって、本願発明において、金属クラウンを使用したことによってピボット機構の強度が増加し互いに離間しにくくなるとの効果が得られたとしても、その点をもって、本願発明と引用発明との間の、課題解決のための具体的手段における実質的な差異であるとはいえない」、「そして、引用例構成は、2つの剛性フレームを相互に回動可能に結合することを実現する手段であり、他方、本願発明における金属クラウンを使用する構成も、2つの剛性フレームを相互に回動可能に結合することを実現する手段である。そうすると、2つの剛性フレームを相互に回動可能に結合することを実現するために、引用例構成を、周知技術である金属クラウンを使用する構成とすることは、当業者が普通に採用すると認められる程度の技術的手段の一態様であり、課題を解決する手段を具体化するに当たっての設計的事項にすぎない」、「したがって、本願発明と引用発明は実質的に同一と認められ、審決の相違点の判断に誤りがあるとは認められない」と述べている。 |