知財高裁(平成0年8日)“電子請求書管理システム事件原告は、被告主張のような請求書の決済という抽象的な技術分野は存在せず、電子請求書に係る当業者は紙媒体の請求書に係る知識を有しないから、紙媒体の請求書に関する周知例2について何ら技術分野を特定しないまま別個の電子請求書の技術分野において周知事項1を認定した審決は誤りである旨主張する。しかし、原告の主張は、以下のとおり失当である。すなわち、周知例2が、決済処理に係る分野に属することは『とりまとめた複数の請求書についてその支払を一括してできるように、複数の請求書をリスト化し、請求リストに含まれる個々の請求書について、個々に支払指示を入力する欄を設けること』との記載に照らして明らかである。この点は、請求が紙媒体によるか電子情報によるかによって左右されるものとはいえない。なお、電子請求書の決済業務に従事する者は、電子的な方法による情報交換のみならず、紙媒体による決済業務に関する知識経験が必須であるといって差し支えないから、紙媒体の請求書に係る周知例2を電子請求書に係る周知事項1の認定に用いた審決は相当である。したがって、これらに反する原告の上記主張は、理由がない」と述べている。

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