東京地裁(平成0年8日)“風呂装置事件原告は、本件特許につき本件無効審決が確定し本件特許が遡及的に無効になったから、被告Yは、本件契約金を不当利得として返還する義務がある、と主張する。しかしながら、本件実施契約書・・・・の6条1項は『本契約に基づいてなされたあらゆる支払いは、事由の如何に拘わらず乙(判決注・原告)に返還されないものとする』と規定しており、同条項の定めが、特許無効審判制度が存在することを前提として、本件特許権につき、契約締結後、無効審判が請求され無効審決が確定した場合であっても、本件契約金等の返還をしない趣旨を合意したものであることは、前記・・・・で説示したとおりである。同条項によれば、本件特許が本件無効審決により無効となっても、被告Yは、本件実施契約に基づき支払われた本件契約金の返還義務を負わないと解するのが相当である」と述べている。

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