東京地裁(平成1年0月8日)“経口投与用吸着剤事件被告は、本件特許の明細書に実施例(実施例1、2)として記載された製造例が『細孔直径7.5〜15000nの細孔容積0.L/gあるいは0.L/g』の『フェノール樹脂を炭素源とした球状活性炭』のみであり、構成要件D(細孔直径7.5〜15000nの細孔容積が0.L/g未満)で特定された球状活性炭のうち、わずかな範囲のものしか開示がなく、いわゆるサポート要件を欠くと主張する。しかしながら、本件明細書の表1、2には、細孔直径7.5〜15000n細孔容積が0.L/gの場合に、選択吸着率が2.1と比較的に劣っていることが示されていること、公知文献5・・・・には、細孔直径0〜15000nの細孔容積が小さくなるにつれて有益物質の吸着量が低下すること、及び細孔容積が小さすぎると毒性物質の吸着量も低下することが開示されており、このような知見は、本件出願日(平成5年0月1日)当時において公知の技術であったと認めることができる。そうすると、本件明細書における実施例の記載に加え、選択吸着能は(細孔容積が極小の場合を除き)その減少に応じて漸次発現する特性がある旨の上記知見を考慮すれば、当業者はこれにより優れた選択吸着率の達成を認識することができるから、本件特許請求の範囲の記載は、本件明細書における詳細な説明に記載したものであるということができ、サポート要件違反との被告の主張は採用することができない」と述べている。

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