知財高裁(平成21年12月10日)“開き戸の地震時ロック方法事件”は、「本件明細書の発明の詳細な説明の記載と図面とを参酌した上で、本件特許発明1は、地震時において本体側に設けられた係止手段の係止部が、開き戸の係止具の係止部に当たり、それ以上開き戸が開かないようにするとの構成を理解したとしても、その開き戸が開く程度については、特許請求の範囲の記載に『わずかに』と極めて抽象的に表現されているのみで、特許請求の範囲の他の記載を参酌しても、その内容が到底明らかになるものとはいえない。そして、本件明細書の発明の詳細な説明にも、その『わずかに』で表わされる程度を説明したり、これを示唆するような具体的な記載はない。そうすると、当業者にとって、その技術常識を参酌したとしても、本件特許発明1の『わずかに』と記載される程度を理解することは困難であって、特許請求の範囲の記載が不明確であるといわざるを得ない」と述べている。 |