知財高裁(平成1年65日)“簡易レタリングテープ作製機事件「一審被告は本件各発明に先立ちワープロ事業を展開しており、その際の蓄積技術として、サーマルヘッドによる熱転写印字方式、印字される文字ドット構成、漢字処理ソフト技術、レタリングインク技術等を有していた。のみならず、・・・・一審原告らがラミネート発明の基礎となった第1発明を一審被告の商品として具体化する開発チームである『P−Touchプロジェクト』を立ち上げ、その製品化に向けて技術的構成を検討した際には、これら一審被告の蓄積技術を用いることが前提とされていた」、「一方、一審被告は、・・・・ラベルライターを商品化するに当たり、自らは有力な販売ルートを有していなかったことから一時は製品化自体が危ぶまれたが、キングジム社との間でOEM供給契約が締結されたことにより事務機器の分野に強力な販売ルートを開拓することができ、これがラベルライター製品化当初の普及に貢献した。また、キングジム社の非ラミネートテープ製品への進出により同社へのOEM供給が減少していった際には、マックス社やタカラ社へのOEM供給を実現し、これが本件被告製品の売上げの維持に貢献した」、「以上の事情(サイト注:別途に認定した、本件各発明に至る経緯、製品化に至るまでの経緯、本件各発明の権利化の経緯、・・・・本件被告製品の販売状況、・・・・キングジム社及びカシオ社との紛争の発生とライセンス契約締結の経緯を含む)に、・・・・本件各発明の技術としての価値、一審原告らの一審被告社内での待遇、その他本件訴訟に顕われた一切の事情を考慮すると、本件各発明に関する一審被告の貢献度は、第1発明については3%、ラミネート発明及び第3発明については5%と認めるのが相当である」と述べている。

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