知財高裁(平成1年65日)“簡易レタリングテープ作製機事件「一審原告らは、製品化や事業を継続・拡大するためになされた要素は発明に直接関係しないから、これらを独占の利益に対する貢献と評価すべきでない旨主張する。この点、旧5条3項及び4項(サイト注:現4項及び7項)の規定は、職務発明の独占的な実施に係る権利が処分される場合において、職務発明が雇用関係や使用関係に基づいてされたものであるために、当該発明をした従業者等と使用者等とが対等の立場で取引をすることが困難であることに鑑み、その処分時において、当該権利を取得した使用者等が当該発明の実施を独占することによって得られると客観的に見込まれる利益のうち、同条4項所定の基準・・・・に従って定められる一定範囲の金額について、これを当該発明をした従業者等において確保できるようにして当該発明をした従業者等を保護し、もって発明を奨励し、産業の発展に寄与するという特許法の目的を実現することを趣旨とするものであって、従業者等と使用者等の利害関係を調整する規定であるから、このような趣旨に照らせば『使用者等が貢献した程度』には、・・・・特許の取得・維持やライセンス契約の締結に要した労力や費用、あるいは、特許発明の実施品にかかる事業が成功するに至った一切の要因・事情等を考慮し得るものと解するのが相当である。したがって、一審原告らの上記主張は採用することができない」と述べている。

特許法の世界|判例集