大阪地裁(平成1年90日)“調理レンジ事件特許請求の範囲において、加減圧手段は『レンジ室内と連通されレンジ室内の加圧及び減圧を繰り返す加減圧手段』というように、加減圧という作用、機能面に着眼して抽象的に記載されているだけであって、加減圧手段の具体的な構成は明らかにされていない。このように、特許請求の範囲の発明の構成が機能的、抽象的な表現で記載されている場合に、当該機能ないし作用効果を果たし得る構成がすべてその技術的範囲に含まれるとすれば、明細書に開示されていない技術的思想に属する構成までもが発明の技術的範囲に含まれることになりかねず、特許権に基づく独占権が当該特許発明を公衆に対して開示することの代償として与えられるという特許法の理念に反することになり、相当でない。そこで、本件特許発明1の技術的範囲を確定するに当たっては、本件明細書1の発明の詳細な説明及び図面を参酌し、そこに開示された加減圧手段に関する記載内容から当業者が実施し得る構成に限り、その技術的範囲に含まれると解するのが相当である」と述べている。

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