知財高裁(平成1年9月2日)“抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体事件原告は、・・・・実施可能要件の判断に当たり、本願発明が実施可能か否かは、本来任意に選択された1個の部分(本件では抗体)が生産及び使用をすることができるように本願明細書に記載されていることで足りると解すべきであるにもかかわらず、審決が『網羅的』に得ることが必要であるとした点には、誤りがあると主張する」、「特許権は、公開することの代償として、物の発明であれば、特許請求の範囲に記載された『その物』について、実施する権利を専有することができる制度であることに照らすならば、公開の裏付けとなる明細書の記載の程度は『その物』の全体について実施できる程度に記載されていなければならないのは当然であって『その物』の一部についてのみ実施できる程度に記載されれば足りると解すべきではない。したがって、原告の上記主張はその前提において失当である」と述べている。

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