知財高裁(平成21年9月30日)“真空浸炭方法事件”は、「本件明細書の発明の詳細な説明には、煤の発生を抑え、深い凹部の内壁面を含めてワーク全体にわたって各部を均一に浸炭することができるとともに、使用するガス量や熱量も少なくて済むような本件発明に係る浸炭方法、浸炭装置等について、分子構造等に基づく説明の他、具体的な工程、装置の構造、並びにワークの形態・寸法、加熱室内の圧力、浸炭深さ、それらの相互関係、及び各工程の時間等が、複数の実施例を含めて具体的に示されているから、当業者は、発明の詳細な説明の記載に基づいて、自らが実施しようとするワークの形態等に応じて適切な浸炭条件、浸炭装置を想到することができるものと認められ、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができ、特許法36条4項の要件を充足するものと認められる」と述べている。 |