知財高裁(平成2年19日)“フルオロエーテル組成物事件証拠・・・・によれば、被告セントラル硝子及び丸石製薬が、新薬承認許可申請のための共同研究を行うに当たって1985年1月に締結した『共同開発契約書』・・・・において、互いにセボフルラン製剤の技術情報について守秘義務を負っていたこと、被告アボットが、丸石製薬からセボフルラン製剤についての情報及びサンプル提供を受けるに当たって1991年5月に締結したLetter Agreement・・・・において、被告アボットは丸石製薬から提供された情報及びサンプルについて守秘義務を負っていたこと、さらに、被告アボット、被告セントラル硝子及び丸石製薬の3社は、1992年9月に『セボフルランに関する供給及びライセンス契約』を締結し、この契約の中でもセボフルラン製剤について互いに守秘義務を負っていたこと、丸石製薬は、GMP規定に基づき、工場内の製剤棟にあるセボフルラン製剤の小分け製造現場への立ち入りを製剤担当者等に限定し、外部の人間が立ち入ることができないようにしており、丸石製薬におけるセボフルランの小分け製造工程について、セボフルラン容器を水で洗浄することを含めて、不特定多数人に知られ得る状態にはなかったこと、以上が認められる。以上の事実によれば、被告アボット、被告セントラル硝子及び丸石製薬の3社は、互いにセボフルラン製剤について契約上の守秘義務を有する関係にあり、セボフルラン製剤に関する情報が3社以外の外部に明らかにされることはなかったと認められるから、丸石製薬、被告セントラル硝子における洗浄工程は、公然知られていたとも、公然実施されていたとも認めることができない」と述べている。

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