知財高裁(平成22年10月12日)“被覆された微細突出物を有する経皮的薬剤配達装置事件”は、「引用発明及び引用例2に開示された手段に接した当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が本願補正発明に到達しようとするとき、当業者は、まず、@引用発明における薬剤保留部・・・・に代え、引用例2・・・・に記載の、部材上の複数の角質層−穿刺微細突出物に物質の水溶液を塗布するとの技術を採用し、A引用例2・・・・に記載も示唆もない、部材上の複数の角質層−穿刺微細突出物に、物質の水溶液が乾燥後治療に有効な量となり、有効な塗布厚みとなって付着するようにするとの観点に着目し、さらに、B物質の水溶性を約50mg/mlを超えるものとし、かつ物質の水溶液の粘度を約500センチポアズ未満とすることに想到する必要があるが、引用発明および引用例2に開示された手段に接した当業者は、引用例2の記載を参考にして、上記@の点には容易には想到し得たといえても、そこからさらに進んで、引用例2・・・・に記載も示唆もない上記Aの点に着目することを容易に想到し得たとはいえず、ましては、上記Bの点まで容易に想到し得たものとはいえないというべきである」と述べている。 |