東京地裁(平成2年26日)“ソリッドゴルフボール事件被告は、原告の平成8年1月1日から同年2月9日までの間の被告製品@ないしDの譲渡数量に係る本件特許権侵害の不法行為による損害賠償請求は、平成1年2月0日付け訴えの変更申立書で追加されたものであるが、同日の時点において、上記損害賠償請求権は、3年の消滅時効が完成しているから、本訴において、上記消滅時効を援用する旨主張する。そこで検討するに、原告は、平成7年2月9日に、本件特許権に基づく被告各製品の輸入、販売の差止請求、平成7年2月までの被告各製品の譲渡分に係る本件特許権侵害の不法行為による損害賠償及び不当利得返還請求を求める本件訴訟を提起した後、平成1年2月0日に、同日付け訴えの変更申立書を提出して、平成8年1月1日から同年2月末日までの被告製品@ないしDの譲渡分について本件特許権侵害の不法行為による損害賠償請求を追加する旨の訴えの変更の申立てをしたこと、その後、原告は、平成1年2月4日に、上記差止請求に係る部分について訴えの取下げをしたことは、当裁判所に顕著な事実である。そして、本件訴訟の・・・・審理経過によれば、原告は、平成8年2月0日の時点において、同年1月1日から同年2月9日までの間に被告が被告製品@ないしDを譲渡し、これにより損害を被ったことを知っていたものと認められる。そうすると、上記訴えの変更の申立てがあった平成1年2月0日の時点では、平成8年1月1日から同年2月9日までの被告製品@ないしDの譲渡分に係る原告の不法行為による損害賠償請求権は、3年の時効期間が経過し、消滅時効が完成していたというべきである。したがって、原告の上記期間における被告製品@ないしDの譲渡に係る不法行為による損害賠償請求権は、被告の消滅時効の援用により消滅したものと認められる」、原告は、被告は、平成8年1月1日から同年2月9日までの間の被告製品・・・・の譲渡数量分(・・・・消滅時効の対象となった分)に対する本件訂正発明の実施料相当額(実施料率・売上高の5%)を法律上の原因なく利得し、これにより原告は、同額の損失を被った旨主張する」、計算鑑定の結果によれば、平成8年1月1日から同年2月8日までの間の被告製品@ないしDの売上高は、別表0の『売上高』欄の平成8年1月分及び平成8年2月分の金額であることが認められる。このうち、平成8年2月1日から同月9日までの間の被告製品@ないしDの売上高は、別表0の『売上高』欄の平成8年2月分の金額に上記期間の日数分(9日)を日割計算(9/8)して算出した別紙被告利得額一覧の『利得額』欄の平成8年2月分の金額であることが認められる」、以上によれば、平成8年1月1日から同年2月9日までの被告製品@ないしDの譲渡分について被告が返還すべき利得額は、別紙被告利得額一覧の『売上高』欄記載の金額に実施料率5%・・・・を乗じて算出した『利得額』欄記載の金額(合計1022万0497円)と認めるのが相当である」と述べている。

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