知財高裁(平成2年34日)“加工性の良い高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板事件特許法6条6項2号にいう『特許を受けようとする発明が明確であること』とは、特許請求の範囲における構成の記載からその構成を一義的に知ることができれば特定の問題としては必要にして十分であると解すべきところ、・・・・本件発明1・2における、フェライト中に体積率で3%以上0%以下のマルテンサイトおよび残留オーステナイトが混在するとの点は、加工性を担うフェライト中におけるマルテンサイトおよびマルテンサイト化せずオーステナイトのまま残った残留オーステナイトの体積率を規定したものであり、強度を担うマルテンサイトと、加工時の変形性及びマルテンサイト化した後の強度を担う残留オーステナイトについて、それらの技術的意義は明確であるから、本件発明1・2の特許請求の範囲の記載において、特許法6条6項2号にいう明確性要件違反はないというべきである」と述べている。

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