東京地裁(平成2年64日)“液体供給システム事件被告らは、被告製品2は、市場において広く取引され、たやすく入手することができる物であり、本件発明2及び本件訂正発明2の特徴的機能を有しない7機種の原告製造のプリンタにおいても使用することができる一方、同機能を有している原告製プリンタの数は3機種にすぎないから、仮に、同製品が本件発明2及び本件訂正発明2の実施に適しているとしても、それ以外の用途も有する汎用品であるといえ、特許法101条2号所定の『日本国内において広く一般に流通しているもの』に該当すると主張する。しかしながら、特許法101条2号所定の『日本国内において広く一般に流通しているもの』とは、より広い用途を有するねじや釘のような普及品を想定して制定されたものである。原告製プリンタにしか使用することができない被告製品2は、発光と受光という本件発明の特徴的機能を有しない機種計7機種の他の原告製プリンタにも使用することができるとしても、汎用品ということは到底できず『日本国内において広く一般に流通しているもの』とは認められない。上記『日本国内において広く一般に流通しているもの』とは、汎用の部品や材料が、特許発明の侵害する製品の製造に用いられたとしても、間接侵害とならないように設けられた規定であり、被告製インクタンクは、原告製プリンタ専用のインクタンクであるから、到底、汎用の部品とはいえない。したがって、被告製品2は『日本国内において広く一般に流通しているもの』とは認められない」と述べている。

特許法の世界|判例集